ビッグデータを有していない企業はどうすればいいのでしょうか?答えは簡単です。今からデータを作り、集めていけばいいのです。そのためには、探知機器のセンサーを至る所に設置し(農場、工場、店内等々)、そのセンサーから送り出されるデータを溜めていけばいいのです。その中から、ディープラーニングを含めたAIの手法を試してみて、いちばん合ったもの、相関性の高いデータを選んでいけばいいのです(もちろん、ただ取得すればよいというわけではありませんが)。IoTと一口に言っても、「上りのIoT」と「下りのIoT」があるということを知ってますか。「上りのIoT」とは、お店、工場、農場、建設現場などに置かれたさまざまなデータを捉え、関係機器にデータを吸い上げていく (アップロードと言います)時のことを指します。対して、「下りのIoT」とは、関係機器でAIがデータ解析し、そこからデータを送って(ダウンロード)現場のロボットなど物理的な駆動装置であるアクチュエータを動かすときのことです。IoTには、この二つの流れが必要であることを理解しておくことが重要です。従前のIoTは「ユビキタス」(どこにでも存在する意)、あるいは「M to M」 (Machine to Machine) とも呼ばれ、どこにでも存在する機械と機械、モノとモノとが結びつくという意味で使われていました。その呼び方が「IoT」 に変わっただけのことで、概念としては変わっていません。ただし、当時と比較して、大きな環境等の変化がありました。センサーから関係機器へデータを送り込むところに、低価格で使いやすい高速回線や通信方式が多数使えるようになってきたということ、また、センサーの精度も格段に上がり、しかも低価格で入手できるようになってきたということです。これによって、センサー側からインターネット経由(あるいは高速で安全な専用回線)で関係機器に伝送しやすくなったというバックグラウンドが、IoTの普及を強く押し上げた感があります。最後に、ビッグデータについて簡単に説明しておきます。一口で言えば、ビッグデータとは人間が見ることが事実上、不可能に近い巨大データと考えてください。こちらでも、記憶機器の価格が格段に安くなっている、というインフラ環境の変化もIoT普及の後押しとなっっていることです。企業規模の大小にかかわらず、ビッグデータを簡単に扱える環境が整い、基本的には仮想上でデータ量をいくらでも大きくしていけるということを意味します。